現在では当たり前に標準装備されているパワーステアリングシステム。
パワステがなかった時代では、ハンドルを切る際に車重分の重さがかかっているタイヤの向きを変えるのにとてつもない力を必要としていました。
女性や非力な男性ではハンドルを回すことができず、回せる人でも駐車時に体力をたくさん使ってへとへとになったりと不便だったそう。
そのため、誰でも軽い力でハンドルを楽に回すためにパワーステアリングシステムが開発された。
このパワステシステムにはさまざまなタイプの種類があり、乗用車に使用されるタイプはラック&ピニオン方式が採用されている。
また、力を増幅させるものとして2010年前半くらいまでは油圧の力を利用した油圧パワーステアリングを搭載した車ばかりであった。これはエンジンの回転を借りてポンプを回し、フルードを送り込んでハンドルを軽くするタイプ。
しかしエンジンと同期しているため燃費の悪化やアイドリングストップ機能を持った車の登場、省エネルギーやメンテナンス性を考慮して、
最近の車ではモーターでアシストする電動パワーステアリングが搭載されています。
パワステにはアシスト以外にももう一つ役目があります。
それは穴ぼこや路面のギャップなどタイヤから伝わる衝撃を緩和する機能。
路面からの反動がステアリングに入力することを”キックバック”と言い、
油圧パワーステアリングだと油が、電動パワーステアリングだと制御で衝撃を緩和してくれている。
そんな中、まだパワステが採用されていない時代の車にはキックバック現象で指や腕を骨折した人もいた。
今回はそのキックバックが顕著に起きやすい車を5台紹介していきます。
①日産/マーチ(K10型)スーパーターボ

<画像引用元:https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/meisha/hothatch/21/09/29/>
スーパーチャージャーとターボチャージャーのダブルチャージで武装したこの車は最高出力110PS。
しかもリッターあたり118PSも発揮。
車両重量が770kgなのでパワーウェイトレシオは相当なもの。
「ターボ」グレードにはパワステはあったが、「スーパーターボ」と「R」グレードにはオプション設定すらない重ステ仕様!
ハイパワースポーツにFF方式の組み合わせは路面からの入力がとてつもなく大きい。
軽量ボディにハイパワーFFの組み合わせがドライバーを襲った。
②トヨタ/スターレット(EP71)ターボR

<画像引用元:https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/meisha/sportscar/12/09/25/>
”かっとびスターレット”の愛称で親しまれたEP71だが、先代のFRレイアウトからFFへ変更されています。
車好きの方なら察すると思いますが、FFはFRに比べて路面からの入力がダイレクトに来やすい。
ターボSグレードはパワステが標準装備なのに対して、ターボRはオプションでした。
オプションをつけなかった人は病院送りにされた確率が高いと思います笑
③トヨタ/ランドクルーザー(FJ40型)

今でもクロスカントリーで活躍する40系のランクル。頑丈で耐久性があり、整備性が良いとして世界的認知度を大きく高めました。
信頼性の他にも鉄板をただ曲げただけの簡素なデザインが機能性を大きく上げ、人気を博した。
現在では新車納車5年待ちになる程超人気車種のランクルシリーズだが、40系まではパワステが装備されていませんでした。
クロカンの中では岩に乗り上げたりする際に強いキックバックが発生するのでステアリングの指をかけてはいけない掟があるほど。
パワステがある車ですら怪我するクロカンでパワステなしの車。
今日もどこかで負傷している人がいます。
④スズキ/ジムニー(JA11-1型)

<画像引用元:https://www.suzuki.co.jp/car/entertainment/4wd_history/detail/ja11.html>
こちらもクロカン車両シリーズになります。ランクルに比べて軽量のジムニー。
軽量+前後リジッド+細いタイヤで石を踏むとステアリングが「ビクンッ」と跳ね返ります。
この後のマイナーチェンジとなるJA11-2でジムニーシリーズ初となるパワステが設定された。
最初にパワステの種類について述べましたが、ジムニー始めクロカン系の車にはラック&ピニオン式ではなく、ボールナット式が採用されています。
このボールナット式は操作性が悪い代わりに路面からのダメージをギアボックスがある程度吸収してくれます。
高速道路や長い直線道路を走行している際はグニグニしたステアリング感覚で、直進安定性があまりありませんが、いざという時に衝撃を緩和してくれます。
⑤トヨタ/AE86、AE85レビトレ

頭文字Dでも有名な3ドア86にはグレードが3つ存在。
上から「GP APEX」「GTV」「SR」となり、GT APEXにはパワステが標準装備。
SRはオプションで選べ、GTVには選択肢すらなく強制重ステとなります。
ドリフト中はステアリングが勝手にカウンターを当ててしまうため、制御しようとして指をやられたGTV乗りもいたのではないでしょうか?
ちなみにSRはAE85となるため、頭文字Dの作中でAE85を買った樹くんはもしかすると重ステで頑張っているのかもしれません。拓海くんはGT APEXなのでパワステあり。
まとめ
重ステの車はたくさんありますが、今回は重ステ車両にハイパワーFF、クロカンというキックバックが起きやすい状況で乗られることが多い車を5台紹介しました。
今の車はパワステが付いてると言えど、キックバックが起きないわけではないので普段の運転から気をつけていきましょう!
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