スバル・インプレッサWRX STI。
三菱ランエボと並び、日本のハイパフォーマンス4WDセダンの象徴として語られる存在です。
ボクサーエンジン特有のドロドロとしたサウンド、シンメトリカルAWDの確かな走り、そしてWRCで鍛え抜かれた俊敏さ。
そのすべてがクルマ好きの心を震わせてきました。
1990年代、WRCでの覇権争いの真っただ中に誕生したWRX STIは、モデルチェンジを重ねるごとに進化し、ライバルであるランエボと互いに切磋琢磨しながら“最強の市販ラリーカー”の地位を築いていきます。
今回はそんなインプレッサWRX STIの歴代モデルを振り返り、それぞれが放った個性と進化をたどっていきましょう。
①インプレッサWRX STI (GC型)1992〜2000

WRCに参戦していたスバルは当時レガシィRSを使用していました。新しいホモロゲが欲しかったスバルはレガシィに代わる車としてWRXを生み出しました。
当初はWRXのみでしたがそれを(STI:スバルテクニカルインターナショナル)がアップグレードを施し、販売されました。それがインプレッサWRX STIの始まりです。
STIはハイパワーなエンジンになったものの、トランスミッションは強化されずにWRXそのままを流用したため強度が足りずよく壊れる事象が多く発生した。そのため”ガラスのミッション”とあだ名がつけれらている。
②インプレッサWRX STI(GD型)2000〜2002

2代目となるGD型は丸目、涙目、鷹目に属する。
2000年〜2002年に販売された上記の丸目はアプライドA〜B(前期)となります。
型式がGDBとGDAがあり、GDBはWRX STI、GDAは非STI,すなわちWRXとなります。
STIと非STIの違いは下記です。
STI(GDB):ブレンボキャリパー装備、6MT、DCCD(ドライバーズセンターコントロールデフ)装備、エンジンパワーアップ等です。他にも細かい違いはあります。
非STI(GDA):スバルキャリパー、5MT、DCCDなし、STIに比べてパワーが若干劣る
さらにWRXの下位グレードはターボなしでさらにパワーが低いなどさまざまな仕様が展開されていました。
③インプレッサWRX STI(GD型)2002〜2005

同じGD型でも涙目はアプライドC〜E型で中期となります。
涙目からSTIと非STIでボンネットのエアスクープのサイズが異なり、STIの方がサイズがでかいです。
当然ボンネットしたのインタークーラーサイズも変わっています。
インプの中で一番人気なのがこの涙目と次に紹介する鷹目ではないでしょうか?
④インプレッサWRX STI(GD型)2005〜2007

アプライドF〜G型(後期)が鷹目になります。
トルクアップとミッションのシンクロ機構が強化され、シフトフィールが向上しました。
ちなみに映画「ベイビー・ドライバー」の冒頭で登場した赤い鷹目のインプは非STIのWRXになります。
海外仕向けにはサンルーフ付きも選べたみたいですよ。
⑤インプレッサWRX STI(GRB型)2007〜2014

2007年にセダンからハッチバックへと変化したGRB型は世間から大ブーイングを浴びました。
ブーイングとセダンを出して欲しいとの要望が強く、2010年にSTIのセダンがでました。
ハッチバックがGRB型となり、セダンがGVBとなります。
ハッチバックのGRBには前期、中期、後期があり、前期の顔はバンパー下部が一直線になったグリル、
中期、後期が画像のバンパーになります。
また、GRB/GVBは2リッターですが、2.5リッターエンジンを搭載したA-lineというモデルも存在します。
型式はハッチバックがGRF、セダンがGVFとなり、マニュアルミッションはなく、ATのみになります。
⑥WRX STI(VAB型)2014〜2021

このVAB型から正式にインプレッサからWRXへと独立しました。
3台目のGVBがらインプレッサの名はとられていますが、略称という位置付けで正式にはインプレッサのままですのでこのVABから正式にWRXに独立という形になります。
そしてスバルの名機、EJ20を搭載した最後のモデルとなります。
EJ20を搭載した最後のモデルということで中古相場でも値上がりしています。
⑦WRX S4 STI(VB型)2021〜

2.4リッターのFA24Fエンジンを搭載したモデルです。
現時点で日本国内仕向けにマニュアル設定はありませんが、北米仕様ではあります。
当然MT設定を望む声が国内に多く、2026年から設定されるという情報や噂が出回っています。
余談ですが現行のBRZ/GR86に搭載されているエンジンはFA24Dの自然吸気になります。
まとめ
インプレッサWRX STIは、ただの速いスポーツセダンではありませんでした。
WRCでの栄光、スバルの独自技術である水平対向エンジンとAWD、そして「日常で使える最強の走り屋仕様」という立ち位置――。
そのすべてが唯一無二のキャラクターを形作り、世界中のファンを魅了してきました。
いまはインプレッサとWRXという名が別れてしまいましたが、インプレッサWRX STIが残した走りの魂は確かに生き続けています。
次世代のスポーツカーに触れるときも、ふと「STIならどう仕上げただろう」と思ってしまう――。
それほどまでに強烈な存在感を放った伝説的モデルでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
コメント